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高台に無理やり広がる新興住宅街と、荒れ果てた里山の対比が痛々しい。

で、いきなり、迷い込んだ。で、いきなり、巻き込まれた。

そして、ハクに導かれる千尋。次々と畳み掛けてくる理不尽に 精一杯対峙する。

古くてボロい木のベランダで外を眺める。
狭くて、不衛生そうな部屋で、雑魚寝。
無憂宮から、いきなり荒れた世界に投げ出された彼女が どうにか馴染んでいく様がむしろ痛々しい。

今回の映画は、今までを振り返る意味もあるのか、見たような 人や物や、まんまな場面がちょくちょく出てくる。
「やまだろくがつ」さんのサイトの絵板で指摘されてたけど、 銀河鉄道の夜の、まんまの場面も、その意味(この世在らざるものの世界) を連想させて、面白い。

川の主がくれた、マリモサイズの正露丸。
こんなにやたら、めったら役に立つとは思わなんだ。

徹頭徹尾ダメなやつ。

「もと居た所へお帰りなさい」なんて、千尋からナウシカばりに諭されるは、 結局ばーさんの世話になることになるは、ってほんとに居場所なかったんかい！
「みんなの中に、カオナシはいる」なんて、トトロじゃないんだからというような コピーがアニメージュに書いてあったけど、あんまり黒すぎて、 突っ込むどころやないやんね。

ハクをズタボロにしといて、その後には千尋と なごんでたりする。何気に妹よりも物騒かも。

何気に活躍できず。
生身のそれなりに弱そうな少女に 未来少年コナンばりのアクションをさせるし、 かっこいいヒロインを立たせる対比ということで、割を食っとるんかいな。

ばーさん(姉)が意味深な様子でお土産くれたり、帰るとき「ぜったい振り向くな」とか 言われてたんで、最後に絶対何かあるぞ、と構えてたけど、 結局ハクのその後は分からずじまい。
千尋の台詞で、既にこの世界に彼は存在しないことがさらりと 語られてしまっているので、余計どうしようって感じ。

という危惧があって、なかなか見るのを迷っていた。パンフの宮崎駿の意見は くどいし(というか、パンフは映画本編と対照的に、やたら説明的で、饒舌で、 東映アニメフェアのそれと比べると、お得感を感じさえする)。
まあ、「しつけ」られて、後半えらくしゃきしゃきこなしてるとこ なんか、嫌味も少しはあるが、むしろ千尋がかっこよすぎて、凛々しくて、 そんなことはちっとも気にならなかった。
あえて例えれば、ドラえもん映画で突如ヒーローと化してしまう のび太君のようなものか。

アニメージュのダイジェストで予習していたので、すんなりと入り込めたが、 川の主のシーンやら、ひょっとして説明不足では？と思えるシーンもあった。
詰め込み過ぎの感もややあるが、すがすがしく、少し寂しげな、 悔しいくらい、狙われてるとおりの印象を持ったのだった。
(2001.08.04)